海と日本プロジェクト「くしろ・あっけし海の未来調査隊!2024」に協力しました


札幌キャンパスの教員と学生が8月5日から7日まで、北海道釧路市と厚岸町で開催された「くしろ・あっけし海の未来調査隊!2024」(主催:一般社団法人北海道海洋文化フォーラム)に協力しました。本企画は、海を未来へつないでいくためのアクションの輪を広げていくことを目指す日本財団が旗振り役の「海と日本プロジェクト」の一環で、2016年度から開催されています。今年度は「魚種交代と水産業」をテーマに実施され、北海道内の小学5、6年生計30名が参加。生物学部海洋生物科学科と国際文化学部地域創造学科の教員がプログラムの監修や講師を務め、海洋生物科学科の学生が6つの班に分かれた子どもたちのリーダーを務めました。

初日は釧路市でのプログラムが行われ、参加者たちは、近年サンマの漁獲量が減り、イワシが増えているといった漁業の変遷や魚種交代などについて講義を受け、イワシの缶詰製造も体験しました。厚岸町に移動した2日目は海洋生物科学科の南秀樹教授(生物学部学部長)、大橋正臣教授、野坂裕一講師が指導を担当。浜中町の港でプランクトンネットを使った海洋観測に取り組み、霧多布湿原近くの海では子どもたちに海での安全対策や海水温などを肌で感じてもらおうと学生のサポートで「SUP」も実施しました。夕方からは厚岸道立自然公園内にある体験活動支援施設「ネイパル厚岸」を会場に、昆布漁やウニの養殖を手がける北海道東海大学卒業生の山﨑賢治さんが漁の様子や道具を紹介しました。続いて南教授と江平百花さん(海洋生物科学科4年次生)が、今回訪問した5カ所と本学科が海洋実習の際に採取した日本海の水深0m・3000mの海水の成分を分析し、大橋教授が採水場所の特徴や海流の仕組みを解説。野坂講師は顕微鏡の使い方や環境中のプランクトンの役割を説明し、参加小学生は自ら採集したプランクトンを観察しました。最終日は本企画の総合講師で生物学部非常勤講師も務める大塚英治さん(北海道東海大学卒・株式会社沿海調査エンジニアリング代表取締役社長)が進行役となり、「水産」「環境」をテーマに理想的な未来の姿やどんな行動をすべきかを模造紙にまとめて発表。最後に南教授が「くしろ・あっけし海の未来大使認定証」を手渡しました。参加者は、「3日間があっという間に感じるほど、どのプログラムも面白かった」と話していました。

学生リーダーの佐藤航さん(大学院生物学研究科2年次生)は、「夜は学生スタッフでミーティングを重ね、子どもたちの体験に基づく率直な意見を形にできるようサポートしてきました」とコメント。藤田葵さん(海洋生物科学科3年次生)は、「積極的な子も消極的な子もいるので、班の全員に目を配って声をかけるよう心がけました。私自身は茨城県出身で、普段は札幌キャンパスで学んでいるので、釧路市や厚岸町との海洋環境の違いや昆布漁、干潟など、新鮮で学びの多い3日間でした」と語りました。総合監修としてプログラム立案なども担当した南教授は、「学生には事前に各プログラムのポイントを伝え、各自で調べて指導できるように準備してもらいました。専門用語ではなく分かりやすく伝える、場をコントロールする姿に学生たちの成長を感じました」と話していました。

また、地域創造学科の植田俊准教授は講義や実験を手伝いながら、3日間のプログラム内で行われたグループワークの様子を録音・録画。今後、記録したすべての発話としぐさや目線などの動作を文字に起こして、どのような会話を交わし思考していたかを明らかにして、水産や海洋環境に関する小学生の「語り」や「理解」がどのように変化するかをまとめて発表する予定です。