付属大阪仰星高校での出張授業と教員研修に協力しました


教養学部人間環境学科の岩本泰教授が付属大阪仰星高校で、4月25日に1、2年生を対象とした出張授業、5月14日に教員研修の講師を務めました。大阪仰星高校・同中等部では、ユネスコの理念を学校現場で実践する国際的なネットワーク「ユネスコスクール」への加盟に向け、国際理解教育や環境教育、開発教育、平和教育など、現代文明論や総合的・探究的な学習を核としたESD(持続可能な開発のための教育)に取り組んでいます。岩本教授は本学部が所属する「ユネスコスクール支援大学間ネットワーク」(ASPUnivNet)の新規申請支援担当を務めていることもあり、講師の依頼を受けて「SDGsの教育」に関する実践授業とユネスコスクール加盟に向けた研修に協力しました。

 

1年生対象の授業では「SDGsとは何か~探究学習に向けて」をテーマに、国連がSDGsを制定した経緯や理念、地球規模の問題解決に向けて自分事として考える大切さを説明。「個人が疑問に思うことの調査から始め、ゆくゆくは地域、社会、世界規模の課題解決方法を考え、解決に向けて行動するための視点を探究してください」と呼びかけました。2年生の授業は、来年2月に実施される研修旅行に向けた事前学習として実施されました。大阪仰星高では一昨年度より、研修旅行の行先と行程を生徒が主体となって考案・企画しており、今年度の行先であるフィンランド、ドイツ、オーストラリア、シンガポール、沖縄について岩本教授が各国・地域の歴史や環境の多様性などを解説。SDGsの全17ゴールに関連した視点でスケジュールを考えるためのアドバイスを送りました。

 

また、5月21日の教員研修では、ユネスコスクールの概要や加盟校の教育実践事例、ネットワークに加盟する国内外の学校間交流(ネットワーク活動)といった利点を紹介しました。「加盟に向けて、ホールスクール(学校全体)で持続可能な社会の担い手を育成し、教員と生徒が協働的に意見を出し合える民主的な学びの場づくりが重要です。また、ESDを実践する地域の教育拠点となること、子どもたちの主体的な学びの成果を発信すること、さまざまなネットワーク活動に参加することなども求められます」と話しました。そのうえで、生徒が地球規模と地域レベルの諸課題を自分事として捉えて課題解決に取り組むための指導計画について、実際のトピックを新聞記事とワークシートを用いてディスカッションも行いました。

 

大阪仰星高研究主任の加納尚子教諭は、「これまで中等部ではESDを通じた地域貢献事業など活発に取り組んできました。一方、高校では人権教育や探究学習などすでに取り組みの実績がある活動を、ユネスコスクールとしての活動の一環と位置づけ、加盟申請に向けたスタートを切るために岩本先生にお越しいただきました。ユネスコスクールの認知度が薄い本校では、教員に新たな負担が増えることを不安視する声もあります。しかし、今回の研修で、これまで取り組んできた地域貢献活動や、部活動が盛んな本校において複数のクラブが行っている国際交流などもユネスコスクールと親和性が高いことが分かり、今までの積み重ねがベースとなることに安心したという声も聞かれました。今後は、例えば2年生の研修旅行で各国のユネスコスクール加盟校を訪問したり、探究学習のテーマにSDGsに関する取組を推奨したりといった活動を企画し、学校全体で加盟申請に取り組んでいく計画です」と話しています。